長年、ブランドのアイテム企画をしていると思うことがあります。
それは、「ヒットアイテムを作る難しさ」です。
毎回、痛感します。
もちろん全てのアイテムに思いを込めて作っていくわけですが、一点一点に込める熱量とか、個人的な好みとか、思い通りの素材の調達ができるできないとか、いろんな要因が組み合わさって個々のアイテムに、世に出てみないと分からない「差」が出てきます。
言うまでもなく、世に出たアイテム全てが等しくみなさんに受け入れられて、まんべんなく旅立っていってくれればパーフェクトなのですが、そんなことは不可能なわけです。ヒットアイテムの脇には、個人的に出したいデザインやアイデア、一部の人をターゲットにしたアイテム、賭けに近いカラーリングなど、ラインナップに彩りを添えるものや、ブランドらしさを体現するものも必要だと考えるからです。
ですが、そんなことを吹っ飛ばして売れていく人気商品があります。
それが「ヒットアイテム」です。
これは狙った通りに当たるものでもなく、逆に全く期待していないものから誕生することもあります。一点を極限まで鍛え上げ、やがて後世に名を残すような逸品を生み出す刀鍛冶と違い、アパレルの物作りはある程度の量を生産しなければなりません。理想のクオリティとコストを比較しつつ、現実的に進めていかなければいけない。現段階でのブランドの価値をもとに、ギリギリの価格設定の中でコストをはめつつ、その中で最大のクオリティを出したい、と考えています。
そんな中で、ヒットアイテムが1シーズンの中に1型でも出れば、安心にも自信にもなり、ブランドへの信頼と認知の向上にも繋がると言う、とても重要なものです。
2020秋冬アイテムの中に、過去に2シーズンヒットしたアイテムの最新バージョンがあります。
今回はヒットアイテムのバージョンアップへの道筋をご紹介していきたいと思います。
続く